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一橋大学 鈴木教授と『日本のベンチャーの「上場後の成長の谷」に関する共同研究レポート』を公開

「上場後の成長の谷に関する共同研究レポート」を公開

事業成長を促す「攻めのファイナンス」を支援するグロース・キャピタル株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO:嶺井政人、以下グロース・キャピタル)は、一橋大学大学院経営管理研究科教授の鈴木健嗣氏と2020年11月より開始した産学共同研究のレポート第2弾を公開したことをお知らせします。

(レポートの詳細はこちら:https://www.gckk.co.jp/wp-content/uploads/2021/08/report0830.pdf

本共同研究の目的は、グロース・キャピタルが支援する上場ベンチャーの上場後の非連続な成長に寄与する要因や、成長阻害要因となっている構造的課題の研究を産学連携で行うことで、健全な市場のあり方や、そのために必要な資金調達および調達後の成長支援のあり方を模索し、実務に活用していくことです。
第2弾の研究テーマは、日本の新興企業における「上場後の成長の谷」です。直近30年、日本から大きく成長し、世界で戦える企業が生まれていない構造的な課題を紐解くために、上場後の売上/営業利益の成長率や時価総額成長の日米比較から分析しました。

今回の研究から、以下の3点について判明しました。

  1. 上場後3年間での業績の伸び悩み – 全体の1/4以上の企業は上場後3年間で売上成長が見られず、営業利益においては上場期から3年間で中央値-0.6%、平均値+2.3%とほぼ成長が見られなかった
  2. 約半数の企業は時価総額も横ばい – 時価総額の成長率は中央値で見ると3期間でわずか+3.0%となり、半数の企業ではほぼ成長が見られない。平均値では一部の高成長企業により、3期間の成長率は+66.3%のプラスとなった
  3. 日米比較で成長率の差が明らかに – ナスダック市場の3期間の時価総額成長率の中央値、平均値はそれぞれ+13.2%、+116.4%となり、ともに国内の新興市場よりも成長率が高い結果となった

研究全体を通して、日本の新興企業が新興市場への上場後3年間において、業績や時価総額の成長が鈍化する傾向があることがわかりました。2013年~2019年の期間で上場した企業の時価総額を2021年3月30日時点で集計、日米比較したところ、新規上場企業数はほぼ同数となった一方、時価総額5千億円以上の企業はナスダック56社に対し日本の新興市場は2社、時価総額1兆円以上ではナスダック21社に対し日本の新興市場は1社もない状況と、大きな差が生まれています。

一方で、日本市場においても上場後に業績や株価を比率として大きく伸ばした企業も存在しています。
今回の研究では、日米の上場企業の成長の傾向に加えて、そこから見えてきた課題、日本市場において上場後の株価を大きく伸ばした企業のケーススタディ、そして東京証券取引所や経済産業省といった関係者へのインタビューを含めたレポートを作成しています。

レポートの詳細はこちら:https://www.gckk.co.jp/wp-content/uploads/2021/08/report0830.pdf

引き続き、グロース・キャピタルは産学共同による研究活動を通して、日本の上場ベンチャーの「攻めのファイナンス」を通じた非連続な成長を支援してまいります。

<研究サマリー>

▼研究内容

  • 日本の新興市場における上場後3年間の売上の年平均成長率/営業利益の成長率/時価総額成長率
  • 日本の新興市場、ナスダックにおける上場後3期間の時価総額成長率の比較

▼研究対象

<業績>
新興3市場(マザーズ、ジャスダック、ヘラクレス)
期間:1997~2017年に上場した企業

<時価総額>
新興市場(マザーズ、ジャスダック)
期間:2013~2019年に上場した企業

■共同研究第1弾に関するプレスリリースはこちら

グロース・キャピタル、一橋大学鈴木教授との新株予約権ファイナンス後の株価変動分析に関する共同研究レポートを公開(2021年3月25日)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000068165.html

■一橋大学大学院経営管理研究科 鈴木健嗣(すずき・かつし) 教授について

1976年生まれ。一橋大学大学院経営管理研究科 教授
2005年に一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了、博士(商学)取得
専門はコーポレートファイナンス。
受賞歴として、著書『日本のエクイティ・ファイナンス』(中央経済社)が2018年度・第61回「日経・経済図書文化賞」を受賞
Review of Financial Studies、Strategic Management Journal、Journal of Banking &Financeなど、金融・経営学分野における国際的なtop-tier academic journalへ論文を多数掲載している。このほか共著として『日本のコーポレートファイナンス』、『出光興産の自己革新』(有斐閣)など
・日本証券業協会エクイティ分科会 外部委員
・内閣府成長戦略会議『スタートアップの育成の在り方に関するワーキンググループ』委員

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