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一橋大学鈴木教授との新株予約権ファイナンス後の株価変動分析に関する共同研究レポートを公開

アウトパフォームの特徴および希薄化率と株価推移の相関性について分析

事業成長を促す「攻めのファイナンス」を支援するグロース・キャピタル株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO:嶺井政人、以下グロース・キャピタル)は、一橋大学大学院経営管理研究科教授の鈴木健嗣氏と2020年11月より開始した産学共同研究のレポート第1弾を公開したことをお知らせします。
レポートの詳細はこちら:https://note.com/masatominei/n/n1e1962b7c15a

本共同研究の目的は、グロース・キャピタルが提供する新株予約権ファイナンス※注1領域での事例研究を産学連携で行うことで、発行体と既存投資家双方にとってプラスの効果をもたらす再現性の高い条件を発見し、実務に活用していくことです。初回となる本レポートでは、行使価額修正条項付新株予約権※注2の発行によるエクイティファイナンスにおいて、資金使途および希薄化率の株価への影響を分析しました。

今回の分析により、以下の3点が確認できました。

  1. 発表後、株価が上昇する企業の割合とその特徴
  2. 希薄化率と株価推移の相関性、株価推移の特徴
  3. ファイナンスによる株価変動幅の目安

特に一つ目の特徴である、「発表後の株価上昇企業の割合」に関しては、エクイティファイナンスの発表から120取引日時点において、「M&A」「事業資金人材(人材面での事業への投資)」「不動産の取得」を資金使途にしたファイナンスは、他と比べ株価がアウトパフォームしやすく、「運転資金」や「設備投資」が資金使途のファイナンスはアンダーパフォームしやすいことがわかりました。また、このことから、新株予約権ファイナンスの資金使途の選択自体が投資家にとってのポジティブ/ネガティブ材料となっているシグナリング効果も示唆されており、今後のファイナンス検討における有益な材料となるポテンシャルが示されました。

※発表日を“0”とし、発表日-40取引日対比で株価がアウトパフォーム(上昇)している企業の割合

また、詳細のレポートはこちらからご覧いただけます。
https://note.com/masatominei/n/n1e1962b7c15a

引き続き、グロース・キャピタルは産学共同による研究活動を通して、発行体・既存投資家にとってより良い調達の形を解き明かし、上場ベンチャーの「攻めのファイナンス」を通じた非連続な成長を支援してまいります。

※注1:新株予約権ファイナンスとは、近年上場企業の資金調達手法として一般的となった新株予約権を活用したエクイティファイナンスの手法。発行体が新株予約権を発行し、割当先が適宜行使、払い込みを行うことで資金調達を行う
※注2:行使価額修正条項付新株予約権とは、行使価額の修正が日次・週次等の一定期間毎に行われる条件の付いた新株予約権のこと

<研究サマリー>

▼研究内容

  • 発表後、株価が上昇する企業の割合とその特徴
  • 希薄化率と株価推移の相関性、株価推移の特徴
  • ファイナンスによる株価変動幅の目安

▼研究対象

プロダクト:行使価額修正条項付新株予約権(MSワラント)
期間:2014年1月1日~2019年12月31日に発表された案件
サンプル数:279

※株価推移は市場影響を除くため、インデックスを控除して算出
(各社の[配当落ち修正済株価リターン]から[東証一部全上場企業の時価総額加重平均、配当落ち修正済み株価リターン(Value weighted index return)]を控除)

■共同研究開始に関するプレスリリースはこちら

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000068165.html

■一橋大学大学院経営管理研究科 鈴木健嗣教授よりコメント

この度は、学問分野としてのエクイティファイナンスの研究を、新株予約権ファイナンスを専門的に手掛けるグロース・キャピタルと産学共同で行うことができたことを、とても喜ばしく思います。
新株予約権を活用した資金調達が増える中で、こうして数値的な裏付けを丁寧に分析していくことで、発行体や投資家にとってもファクトに基づいた議論ができるのではないでしょうか。
学問的にも、この領域は今後も研究を深める価値のあるテーマと考えています。産学共同による継続的な研究を通して、引き続き、日本企業のファイナンス力向上に寄与していきたいと思います。

一橋大学大学院経営管理研究科 鈴木健嗣(すずき・かつし) 教授について

1976年生まれ。一橋大学大学院経営管理研究科 教授
2005年に一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了、博士(商学)取得
専門はコーポレートファイナンス。
受賞歴として、著書『日本のエクイティ・ファイナンス』(中央経済社)が2018年度・第61回「日経・経済図書文化賞」を受賞
Review of Financial Studies、Strategic Management Journal、Journal of Banking &Financeなど、金融・経営学分野における国際的なtop-tier academic journalへ論文を多数掲載している。このほか共著として『日本のコーポレートファイナンス』、『出光興産の自己革新』(有斐閣)など
・日本証券業協会エクイティ分科会 外部委員
・内閣府成長戦略会議『スタートアップの育成の在り方に関するワーキンググループ』委員