fbpx

【個人投資家 15,020名対象、バイオベンチャーへの投資意識調査】岸田政権が重要領域に掲げるバイオ領域、投資家全体で「バイオファン」はわずか3.9%
バイオベンチャー投資の約6割は「技術や対象疾患を理解」して投資を実行
2022.10.25

上場ベンチャーの事業成長を促す「攻めのファイナンス」を支援するグロース・キャピタル株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO:嶺井政人、以下グロース・キャピタル)は、抗体創薬のバイオベンチャーである株式会社カイオム・バイオサイエンス(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:小林茂、以下カイオム・バイオサイエンス)と共同で「バイオベンチャー※1への投資意識調査」を個人投資家15,020名を対象に実施いたしました。

岸田政権による「骨太の方針2022※2」で、バイオ、量子、AI、センサー、IoTなどのいわゆるディープテック※3は、国益に直結する科学技術・イノベーション分野として重点投資分野に指定されています。今回の調査では、ディープテックのうち新たな薬や医療技術を開発するバイオベンチャーの投資に焦点を当てました。なお、日本国内で上場するバイオベンチャーは機関投資家が投資を行うケースは少なく、個人投資家が中心となってバイオベンチャーを支える構図となっていることから、個人投資家を対象に調査を実施しました。

※1 バイオベンチャー:新たな薬や医療技術を開発しているベンチャー企業
※2 内閣官房 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画
※3 ディープテック:人工知能(AI)や量子コンピューター、センサー、バイオテクノロジーなど大規模な研究開発を行い、社会課題の解決を目指す先進技術領域の総称

■ 調査概要

調査名:「バイオベンチャーへの投資意識調査」
期間:2022年8月29日~9月2日
方法:インターネットリサーチ

■ 対象および調査項目

【調査1】 個人投資家 15,020人/バイオベンチャー投資経験者 2,809人

  • バイオベンチャーへの投資経験
  • バイオベンチャーへの投資前の情報収集
  • バイオベンチャーへの投資理由
  • バイオベンチャー投資家の分類
  • バイオファンの行動パターン
  • バイオファンの投資理由
  • 調査対象の年齢層

【調査2】バイオベンチャーに投資していない個人投資家 214人

  • バイオベンチャーに投資しない理由

■ 調査結果

【調査1】 個人投資家 15,020人/バイオベンチャー投資経験者 2,809人

① バイオベンチャーへの投資経験

バイオベンチャー複数社に投資経験がある(積極投資層)は投資家全体の約6%

設問:バイオベンチャーへの株式投資の状況として、あなたに最も近いものを教えてください

結果:全体の18.7%の投資家がバイオベンチャーに投資経験があると回答。内訳は

・複数社に投資経験のある「積極投資層」 6.3%
「現在バイオベンチャー1社に投資している(過去にはほかの会社にも投資している)2.6%」「現在バイオベンチャー複数社に投資している 3.7%」を総計したもの

・1社のみ投資経験がある「たまたま投資層」 12.4%
「過去にバイオベンチャーに投資したことはある(今はしていない) 8.7%」「現在バイオベンチャー1社に投資している(過去も含めて投資先は1社だけ) 3.7%」を総計したもの

コメント:バイオベンチャーは将来の成長を期待される分野ではありますが、その研究開発投資を支えるバイオベンチャー領域への投資経験者は、複数社に投資経験のある「積極投資層」で約6%、過去1社でも投資したことがある「たまたま投資層」は約12%で、合計でも2割弱に留まりました。

② バイオベンチャーへの投資前の情報収集

技術や対象疾患を調べ、理解した上で投資する層が約6割

設問:バイオベンチャーに投資する際の状況として、あなたの状況に最も近いものを教えてください

結果:「理解して投資」を行う層56.5%、フィーリング投資層34.3%、テクニカル投資層9.2%。内訳は

・「理解して投資」を行う層 56.5%
「技術や対象疾患などをしっかり調べ、しっかり理解した上で投資する 19.3%」「技術や対象疾患などをある程度は調べ、ある程度理解した上で投資する 37.2%」を総計したもの

・フィーリング投資層 34.3%
「技術や対象疾患などをある程度は調べ、正直あまり理解できないものの、良さそうと思い投資する 24.6%」「技術や対象疾患などはあまり調べず、印象や直感で投資する 9.7%」を総計したもの

・テクニカル投資層 9.2%
「チャートやボラティリティなど、テクニカルで投資する(事業内容はあまり気にしない) 9.2%」

コメント:バイオベンチャーの投資経験者は、半数以上が技術や対象疾患について「理解」しようとする姿勢を持っていることがわかります。

③ バイオベンチャーへの投資理由

TOP3は「将来大きく成長しそう」「テクノロジーの競合優位性」「社会にとって有益」

設問:バイオベンチャーに投資した際の投資理由として、あなたに当てはまるものをすべて教えてください

結果:
・将来大きく成長しそうだから 70.3%
・テクノロジーに競合優位性がある 30.8%
・社会にとって有益だから 23.2%
・対象としている疾患・病気に関心がある 18.5%、他

コメント:未だ治療法が確立していない疾患に挑むバイオベンチャーには、世界に変化をもたらすテクノロジーの優位性や社会への貢献を期待する投資家層が一定数いることが分かりました。

④ バイオベンチャー投資家の分類

バイオベンチャー投資家を4パターンに分類
「バイオファン」はバイオベンチャー投資家の約20%を占め、投資家全体の約4%


調査対象の個人投資家(n数=15,020)のうち、バイオベンチャー投資経験者(n数=2,809)に対して、調査①投資状況(複数社/1社のみ)、②投資時の調べ方・理解状況(調べ理解/調べず理解せず)の回答結果から4パターンの分類を行いました。

結果:
・バイオファン(積極投資×理解して投資) :20.7% (投資家全体の3.9%)
・勉強家(たまたま投資×理解して投資) :35.8% (投資家全体の6.7%)
・ギャンブラー(積極投資×分からず投資) :13.2% (投資家全体の2.5%)
・トライアル(たまたま投資×分からず投資) :30.3% (投資家全体の5.7%)

コメント:岸田政権が重要投資分野に掲げるバイオ・創薬領域ですが、技術や対象疾患を理解した上で積極的に投資する層は投資家全体の約4%に留まり、今後バイオファンの増加がバイオベンチャーの資金調達環境の改善に向けたキーになると推察されます。

⑤ バイオファンの行動パターン

バイオファンは他分類の投資家に比べ情報収集への意欲が高い

設問:あなたが株式投資で特定の会社に興味を持った場合、普段行う情報収集の方法(その企業を知るために確認する情報)をすべて教えてください

結果:
バイオファン
・公式サイトのIR情報 66.8% (全体平均 +14.9ポイント)
・公式サイトのIRニュース 53.7%(全体平均 +15.3ポイント)
・公式サイトのIR以外の情報 48.2% (全体平均 +12.9ポイント)
・公式サイトのIR以外のニュース 38.6% (全体平均 +12.3ポイント)
・有価証券報告書 35.8% (全体平均 +11.9ポイント)
・決算短信 38.0% (全体平均 +8.9ポイント)
・決算説明会資料 34.4% (全体平均 +13.0ポイント)
・決算説明会動画 23.4% (全体平均 +12.4ポイント)
・中期経営計画 32.5% (全体平均 +14.0ポイント)

コメント:バイオファンは他の分類より積極的に情報収集を行っており、バイオファン獲得に向けて、バイオベンチャーは積極的な情報発信が肝要であることが確認できました。

⑥ バイオファンの投資理由

バイオファンは投資理由において「テクノロジーの競合優位性」「社会にとって有益」「対象としている疾患・病気に関心がある」等で全体平均に比べて10ポイント以上高い

設問:バイオベンチャーに投資した際の投資の理由として、あなたに当てはまるものをすべて教えてください

結果:
バイオファン
・テクノロジーに競合優位性があるから 45.3% (全体平均 +14.5ポイント)
・社会にとって有益だから 34.6% (全体平均 +11.4ポイント)
・対象としている疾患・病気に関心があるから 28.7% (全体平均 +10.2ポイント)

コメント:バイオファンがバイオベンチャーに投資する理由として、他の分類に比べて「社会にとっての有益性」「対象疾患・病気の治療法への期待」が強い傾向にあることが分かりました。

⑦ 調査対象の年齢層

25~34歳にバイオファンの割合が高い

設問:属性別調査対象の年齢

結果:5歳刻みの年齢別分類において
・25歳から29歳におけるバイオファン 28.4% (バイオファン平均 +7.7ポイント)
・30歳から34歳におけるバイオファン 33.8% (バイオファン平均 +13.1ポイント)

コメント:バイオベンチャー投資家のうち、25歳から34歳の若い世代では、他世代に比べてバイオファンが比較的多く、バイオベンチャーのIRにおいては若い世代への発信も重要であることがわかります。

【調査2】バイオベンチャーに投資していない個人投資家 214人

⑧ バイオベンチャーに投資しない理由

「事業や株価のボラティリティ」と「事業理解の難しさ」の2大要因

設問:バイオベンチャーに投資しない理由として、あなたに当てはまるものをすべて教えてください

結果:
事業や株価のボラティリティの高さ
・創薬が成功するかどうかの当たり外れが大きいから(ギャンブル要素が強いから) 43.9%
・株価の変動が大きいから 21.0%
・株価の暴落が怖いから 20.1%

事業理解の難易度の高さ
・有望かどうか判断できない/理解できないから 45.3%
・知識がない/よくわからないから 25.2%

コメント:投資家は、大きく2点(①事業や株価のボラティリティの高さ、すなわち創薬の進捗が事業や株価に与える影響が非常に大きいこと、②事業理解の難易度の高さ、すなわち技術評価や企業価値評価が難しいこと)がボトルネックとなり、バイオベンチャーに投資を行っていないことが分かりました。この2点へのアプローチがバイオベンチャー投資家を増やすためのキーになると考えられます。

■ 総括

【グロース・キャピタル マネージング・ディレクター 池田 朋弘】

バイオベンチャーはギャンブル的に投資される印象が強い領域ですが、実際に調査を行うと、約6割の投資家は「なるべく調べ、理解した上で購入する」ことがわかりました。企業のIR姿勢としては、投資家がしっかり事業内容や研究内容を理解できるよう丁寧な情報発信を行うことが求められます。

具体的にどのような情報を出すべきかについては、バイオベンチャーへの投資理由が参考になります。最も強い理由は「将来大きく成長しそうだから」ですが、その具体的な内容として「テクノロジーの競合優位性」「対象としている疾患・病気に関心がある」「対象としている疾患・病気が今後増えそう」等が高く、これらへの言及が求められます。また「社会にとって有益」という投資理由も強く、どのように社会に役立つのかを経営者の想いやミッション・ビジョンを交えて伝えることも重要です。

どこで伝えるべきかについて、バイオファンの行動パターンが参考になります。「公式サイトのIR情報」「IRニュース」が最もよく見られています。一方、決算補足資料や説明会動画などの深い情報まで確認する人はまだまだ少数派です(本調査リリースでは詳細データは省略していますが、決算補足資料を見るのは約2割、動画を見るのは約1割程度です)。公式サイトを見るだけで、上記情報をしっかり理解できるような状態が必要です。

【グロース・キャピタル CEO 嶺井 政人】

岸田政権による「骨太の方針2022」ではバイオテクノロジー・創薬分野は国益に直結する重点分野に指定されており、国を挙げての注力が期待されていますが、バイオベンチャーを理解した上で積極的に投資を行う「バイオファン」の人数と投資額の増加がなければ、バイオベンチャーの研究開発費の調達環境改善は実現できません。
今回の調査を通じて「バイオファン」は投資家全体の3.9%と少なく、「バイオファン」を増やすため、国による啓蒙や各バイオベンチャーの取組みが必要であることがわかりました。

具体的には国として
1.バイオベンチャーの認知度向上
2.バイオベンチャーの評価メトリクスの浸透
の取組みが重要であると考えます。多くの企業が研究開発段階ゆえにPERやPSRといった指標はバイオベンチャーでは活用できない中で、バイオベンチャーを評価する手法が一般に浸透しておらず、ニュースや印象でしか投資判断できない状況となっています。2で挙げた「評価メトリクス」という点では、バイオベンチャーの評価手法の一つである「パイプラインの期待値積み上げをベースとした企業価値評価」等の手法の普及が待たれます。

またあわせて、バイオベンチャーとして
・投資家がメトリクスを活用して企業価値評価ができるよう、パイプライン情報の開示充実
が期待されます。今では日本のグロース銘柄の中心となっているSaaS企業も5年前までは、先行投資による赤字が多いことから投資家に敬遠されるセクターでした。そんな中で、ARRやチャーンレートといったKPI、PSRといった評価軸が浸透し、開示の充実も図られたことで企業価値を評価できるようになり、投資家を呼び込むことに成功し、現在に至ります。

この5年でのSaaSセクターの成功をバイオセクターでも再現できれば、バイオベンチャーの調達環境を改善し、積極的な研究開発投資を行う環境を整えることができると考えます。当社もバイオベンチャーの発展に寄与するため活動を続けて参ります。

【カイオム・バイオサイエンス 取締役 経営企画室長 美女平 在彦】

当調査により自社をはじめ、バイオベンチャー企業に投資いただいている個人投資家の実態把握が進みました。
特にバイオベンチャーへの投資に積極的、かつ、技術や対象疾患を理解して投資している「バイオファン」「勉強家」の存在を認識し、より適切なコミュニケーションを行う必要があると強く感じました。

バイオベンチャー企業のIR・広報の内容には、医薬品の研究開発に関する専門的な用語が含まれておりますが、その発信される情報は医薬品産業に携わる方々を念頭に対象としていることや医薬品開発に関する知識を有していることを前提に構成されていることも多いため、他業界に比べて情報の取り扱いのハードルが高いと感じています。

今回の調査で明らかになったように、バイオ投資に経験のある方の半数以上は、各社が有する技術や開発する医薬品の対象疾患を理解・認識したうえで投資を実行されていることを把握し、投資家の皆さまから期待されている状況を有り難く受け止めております。また、それと同時に、医薬品開発は専門性の高いハイリスクハイリターン型のビジネスモデルであるため、投資家の方々が事業内容や研究内容をより身近に、適切に触れられるように、IR・広報の知見・ナレッジを積極的に取り入れて実践していくことがより必要であると感じています。

バイオベンチャーが治療薬の開発を待つ患者さんに光指す存在として期待に添えるよう、私たちはより適切な情報開示・コミュニケーションを模索するとともに、「バイオファン」やバイオ領域への投資が増加し業界に良い影響が与えられるよう、バイオ領域のIR・広報のモデルケース企業を目指して邁進してまいります。

■ 調査概要

【調査1】
・調査名:グロース・キャピタル、カイオム・バイオサイエンス バイオベンチャー投資家に関する共同調査
・集計期間:2022年8月29日(月)~9月2日(金)
・対象:株式投資を行っている個人投資家 15,020名
・方法:Webアンケート

【調査2】
・調査名:グロース・キャピタル、カイオム・バイオサイエンス バイオベンチャー投資家に関する共同調査
・集計期間:2022年8月29日(月)~9月2日(金)
・対象:バイオベンチャーに投資しない投資家 214名
・方法:Webアンケート

※本ニュースリリースに含まれる調査結果をご掲載いただく際は、以下のクレジットを明記してください
クレジット: グロース・キャピタル株式会社・株式会社カイオム・バイオサイエンス調べ

グロース・キャピタル株式会社について

グロース・キャピタルは、上場スタートアップの非連続な成長を支援します。株式での「資金調達」、調達資金を活用した「M&A・新規事業・マーケティング等の成長戦略実行」や「IR」について支援することで、上場スタートアップが成長を加速し、日本およびグローバルのトップ企業となることに貢献します。

グロース・キャピタル代表プロフィール

嶺井政人

早稲田大学在学中にマーケティングソリューションを提供する株式会社セールスサポートを創業し、ネオマーケティングへ売却。2009年、モルガン・スタンレー証券に入社し、投資銀行部門およびクレジットリスク管理部門で主にテクノロジー企業の資金調達や格付 業務に従事。2013年、マイネットCFOに就任。ファイナンスおよびマーケティング分野を中心に事業の成長を牽引、東証マザーズに上場。その後2016年より副社長に就任し東証一部上場を実現。2019年4月、グロース・キャピタルを設立。

グロース・キャピタル IRインサイト 事業責任者 池田 プロフィール

池田 朋弘

2008年、早稲田大学卒業後に株式会社ビービットに入社し、UXコンサルティング業務に従事。2013年、株式会社ポップインサイトを代表取締役CEOとして創業し、日本初のリモートUXリサーチ事業を展開。2017年、ポップインサイトがM&Aを通じて東証プライム上場のメンバーズのグループ会社入り。その後、2021年3月までメンバーズの執行役員を務める。2022年4月、グロース・キャピタルに参画。

会社概要:グロース・キャピタル株式会社

設立:2019年4月1日
代表者:嶺井政人
所在地:東京都港区南青山3丁目8番40号 青山センタービル 2F

本件に関するお問い合わせ先

グロース・キャピタル株式会社 PR 事務局(ビルコム株式会社内) 担当: 倉地・笹森
TEL:03-5413-2411 FAX:03-5413-2412 Mail:g_capital@bil.jp

本リリースに掲載された内容は発表日現在の情報です。
※メディア関係者様のイベントのご参加並びにご取材は、事前に記事化に際しての条件をお伝えし、ご了承いただいた方に限定させていただきます。フォームよりお申し込みのメディア様には上記担当より、個別でご連絡させていただきます。