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【スタートアップ役員450名対象、市場環境の見通しと岸田政権の政策に関する意識調査】
岸田政権の政策は「株式市場や資金調達環境に追い風」2割強にとどまる 6割強の上場スタートアップ役員 「M&Aを積極的に検討」
2022.08.17

上場ベンチャーの事業成長を促す「攻めのファイナンス」を支援するグロース・キャピタル株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO:嶺井政人、以下グロース・キャピタル)は、スタートアップ役員(CEO・CFOなど)464名(上場企業役員:152名 未上場企業役員:312名)を対象に、「市場環境の見通しと岸田政権の政策に関する意識調査」を実施いたしました。

岸田政権は本年をスタートアップ創出元年と位置づけており、2022年6月7日に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針2022」では、重点投資分野の一つに「スタートアップ(新規創業)への投資」が掲げられました。8月よりスタートアップ担当相が新設され、本年末に策定が予定される「スタートアップ育成5か年計画」にどのようなスタートアップ支援策が盛り込まれるのか注目が集まっています。こうした背景から、グロース・キャピタルはスタートアップ役員に意識調査を行いましたので、以下に報告いたします。

■調査結果サマリ
  • 【1年後の株式市場(未上場の場合は資金調達環境)の見通し】
    未上場役員は上場役員と比較して今後の見通しをネガティブに捉えている結果に
  • 【①の見通しを踏まえた会社全体のステータス】
    37.8%の未上場企業「成長戦略の修正・再検討中」
    上場企業の21.7%に比べ、16ポイント高い結果に
  • 【①の見通しは自社にとって追い風か、向かい風か】
    未上場企業では上場企業と比較して「向かい風」と捉えている結果に
  • 【自社のM&A方針について】
    92.8%の上場役員が、「買い手としてM&Aを検討している」と回答
    うち65.1%が積極的にM&Aを検討
  • 【自社の資金調達方針について(エクイティ、デット双方)】
    未上場企業の49.4%が「資金調達を積極的に検討中」
    上場企業の20.4%に比べ、29ポイント高い結果に
  • 【岸田政権が掲げる「新しい資本主義」をはじめとした政策は株式市場(未上場の場合は資金調達環境)に対して追い風か】
    「追い風になる」と思う 20.7%にとどまる
    ※特に上場スタートアップ役員では、約9割が追い風になると考えていない結果に

■調査結果の詳細

※以下の表の数値は小数点以下第2位を四捨五入したため100%にならないことがある

【1年後の株式市場(未上場の場合は資金調達環境)の見通し】
未上場役員は上場役員と比較して今後の見通しをネガティブに捉えている結果に

▽1年後の株式市場(未上場の場合は資金調達環境)を今と比べてどう見通していますか

※上場役員(n数=152)、未上場役員(n数=312)

「1年後の株式市場(未上場の場合は資金調達環境)の見通しを今と比べてどう見通していますか」という問いに対して、未上場スタートアップ役員は36.5%が「悪化する」「やや悪化する」と回答し、上場スタートアップ役員の同回答32.3%と比較して、ややネガティブに捉えている傾向にあることが明らかになりました。

【①の見通しを踏まえた会社全体のステータス】
37.8%の未上場企業「成長戦略の修正・再検討中」
上場企業の21.7%に比べ、16ポイント高い結果に

▽①で回答した見通しを踏まえて会社全体としてどのようなステータスですか

※上場役員(n数=152)、未上場役員(n数=312)

「株式市場(未上場の場合は資金調達環境)の今後の見通しを踏まえて会社全体としてどのようなステータスですか」という問いに対し、37.8%の未上場企業(未上場スタートアップ役員)は「成長戦略の修正・再検討中」と回答。一方で、上場企業(上場スタートアップ役員)は21.7%が「成長戦略の修正・再検討中」、また57.2%が「成長戦略は変えず、実行している」と回答しました。背景には上場企業は財務基盤が比較的安定しており、短期的な市場環境の影響を受けづらいことに起因していると考えられます。

【①の見通しは自社にとって追い風か、向かい風か】
未上場企業では上場企業と比較して「向かい風」と捉えている結果に

▽①で選んだ株式市場の見通しは貴社にとって追い風(ポジティブ)ですか?向かい風(ネガティブ)ですか

※上場役員(n数=152)、未上場役員(n数=312)

「株式市場(未上場の場合は資金調達環境)の今後の見通しは貴社にとって追い風(ポジティブ)ですか?向かい風(ネガティブ)ですか」という問いに対し、未上場企業(未上場スタートアップ役員)は「ネガティブ」「ややネガティブ」と37.2%回答し、上場企業(上場スタートアップ役員)の同回答25.0%と比較して「向かい風(ネガティブ)」と捉えている割合が12.2ポイント高いことが明らかとなりました。この結果は、未上場企業は資金調達のニーズが強く、市場環境の影響を強く受けやすいことに起因すると考えられます。また、上場企業にとっては株式市場が下がると資金調達が行いづらいというマイナス面はあるものの、M&A時の買収価格も下がるというプラスの側面もあり、それらがオフセットされるため、「どちらでもない」が46.1%と多いことが推察されます。

【自社のM&A方針について】
92.8%の上場役員が、「買い手としてM&Aを検討している」と回答
うち65.1%が積極的にM&Aを検討

▽貴社のM&A方針に当てはまるものをお選びください

※上場役員(n数=152)、未上場役員(n数=312)

「貴社のM&A方針に当てはまるものをお選びください」という問いに対し、上場企業(上場スタートアップ役員)のうち、M&Aを買い手として検討している(積極的・受け身)割合は92.7%(うち積極的に検討が65.1%)にのぼり、M&Aへのモチベーションは非常に高いことが分かりました。株価が下がることは買い手にとってプラスのため、比較的、資金余力のある上場企業にとってはM&Aを積極的に検討しやすい環境になっていると考えられます。

【自社の資金調達方針について(エクイティ、デット双方)】
未上場企業の49.4%が「資金調達を積極的に検討中」
上場企業の20.4%に比べ、29ポイント高い結果に

▽貴社の資金調達方針(エクイティ、デット双方)に当てはまるものをお選びください

※上場役員(n数=152)、未上場役員(n数=312)

「貴社の資金調達方針(エクイティ、デッド双方)に当てはまるものをお選びください」という問いに対し、未上場企業(未上場スタートアップ役員)の49.4%の約半数におよぶ企業が「積極的に検討中」という結果が得られました。

【岸田政権が掲げる「新しい資本主義」をはじめとした政策は株式市場(未上場の場合は資金調達環境)に対して追い風か】
「追い風になる」と思う 20.7%にとどまる
※特に上場スタートアップ役員では、約9割が追い風になると考えていない結果に

▽岸田政権が掲げる「新しい資本主義」をはじめとした政策は、株式市場(未上場の場合は資金調達環境)に対して追い風となると思いますか

※上場役員(n数=152)、未上場役員(n数=312)

「岸田政権が掲げる「新しい資本主義」を始めとした政策は、株式市場(未上場の場合は資金調達環境)に対して追い風となると思いますか?」という問いに対し、「とてもそう思う」「そう思う」と回答したのは20.7%で、「思わない」「全く思わない」と回答した割合の36.7%の約半分程度でした。また、上場企業(上場スタートアップ役員)に絞った場合、「岸田政権の政策が株式市場に対して追い風となる」は11.2%(約1割)にとどまり、より顕著に評価が低いことが明らかとなりました。

■総括(解説者:グロース・キャピタル代表 嶺井 政人)

本調査からは、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」をはじめとした政策が、「株式市場や資金調達環境に追い風になるか」という設問で「追い風になる」と肯定的(とてもそう思う、そう思う)に回答したのは上場・未上場スタートアップ役員の20.7%(約2割)にとどまり、特に上場スタートアップの役員に絞ると同回答は11.2%(約1割)にとどまることが明らかになりました。

スタートアップ創出元年を掲げる岸田政権による上場スタートアップ支援策は、未だ十分な議論がなされているとは言い難く、その結果として本調査でも上場スタートアップ役員ほどシビアな結果となったと言えるのではないでしょうか。

今後議論の活性化が期待されるスタートアップ育成の目的は、スタートアップ企業を増やすことや、単にユニコーン企業を増やすことではないはずです。経済産業省が旗振り役となって掲げている「新産業の創出」や「イノベーションの創出」による経済インパクトこそが、日本のスタートアップ育成の最終目的であると認識しています。スタートアップによる新産業やイノベーションの創出は、上場後も成長を継続して実を結び始めるものです。スタートアップ企業の上場後のフェーズも含めた支援策がなければスタートアップ支援策としては不十分と言えるでしょう。

2021年8月、グロース・キャピタルと一橋大学鈴木教授との共同研究レポート※では「新産業の創出」や「日本から世界で戦える企業を生み出す」には上場スタートアップの成長鈍化がボトルネックであることが明らかになりました。
2020年に閣議決定された『成長戦略フォローアップ※』では、KPI(重要業績評価指標)に上場スタートアップの支援も含まれる記述(下記)が示されていました。

企業価値又は時価総額が10億ドル以上となる、未上場ベンチャー企業
(ユニコーン)又は上場ベンチャー企業を2025年度までに50社創出

日本のスタートアップ企業にとって新興上場市場は海外におけるレイトステージの役割も担っているからこそ、上場・未上場というステージで区分けすることなく、この方針を堅持して、今後発表される予定の日本のスタートアップ成長戦略(スタートアップ育成5か年計画)において上場スタートアップの支援策が盛り込まれるかが重要なポイントであると考えます。

※参考:「上場後の成長の谷に関する共同研究レポート」
https://www.gckk.co.jp/wp-content/uploads/2021/08/report0830.pdf

※『成長戦略フォローアップ』(令和2年7月17日)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/fu2020.pdf

■調査概要

  • 調査名:市場環境の見通しと岸田政権の政策に関するスタートアップ役員意識調査
  • 集計期間:2022年6月14日(火)~7月26日(火)
  • 対象:スタートアップ役員464名 (上場企業役員:152名 未上場企業役員:312名)
  • 方法:Web実名アンケート

※2022年7月27日開催の成長企業の役員が集う「Growth CFO Summit」申込時のフォームにて実名回答。704名の回答者のうちスタートアップ企業の役員以外の回答は調査から除外

※本ニュースリリースに含まれる調査結果をご掲載いただく際は、以下のクレジットを明記してください
クレジット: グロース・キャピタル株式会社調べ

グロース・キャピタル株式会社について

グロース・キャピタルは、ベンチャー企業が上場後も非連続な成長を達成することを支援します。業務提携を通じて、株式を活用した資金調達および調達資金を活用したM&A・スタートアップ投資・新規事業・マーケティング等の成長戦略についても支援・実行を行うことで、上場後のベンチャー企業が成長をさらに加速し、日本およびグローバルのトップ企業となることに貢献します。

グロース・キャピタル代表プロフィール

嶺井政人

早稲田大学在学中にマーケティングソリューションを提供する株式会社セールスサポートを創業し、ネオマーケティングへ売却。2009年、モルガン・スタンレー証券に入社し、投資銀行部門およびクレジットリスク管理部門で主にテクノロジー企業の資金調達や格付 業務に従事。2013年、マイネットCFOに就任。ファイナンスおよびマーケティング分野を中心に事業の成長を牽引、東証マザーズに上場。その後2016年より副社長に就任し東証一部上場を実現。2019年4月、グロース・キャピタルを設立。

グロース・キャピタル IRインサイト 事業責任者 池田 プロフィール

池田 朋弘

2008年、早稲田大学卒業後に株式会社ビービットに入社し、UXコンサルティング業務に従事。2013年、株式会社ポップインサイトを代表取締役CEOとして創業し、日本初のリモートUXリサーチ事業を展開。2017年、ポップインサイトがM&Aを通じて東証プライム上場のメンバーズのグループ会社入り。その後、2021年3月までメンバーズの執行役員を務める。2022年4月、グロース・キャピタルに参画。

会社概要:グロース・キャピタル株式会社

設立:2019年4月1日
代表者:嶺井政人
所在地:東京都港区南青山3丁目8番40号 青山センタービル 2F

本件に関するお問い合わせ先

グロース・キャピタル株式会社 PR 事務局(ビルコム株式会社内) 担当: 笹森・倉地
TEL:03-5413-2411 FAX:03-5413-2412 Mail:g_capital@bil.jp

本リリースに掲載された内容は発表日現在の情報です。
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